B09-砂村栄力
私は南米から世界各地へ運ばれて広まった「アルゼンチンアリ」を、原産地アルゼンチンや日本を含む世界5大陸で撮影してきました。このアリはいわゆる外来種で、本来の生息地でない所で繁殖して生態系を破壊したり、家屋に侵入して人に不快感を与えたりといった害が顕著なので、ヒアリと並んで「世界の侵略的外来種ワースト100」にランキングされています。私は大学でこのアリの学術研究を行ったのがきっかけでその写真も撮っており、世界各地における彼らの生態を比べてみたいと思い旅をしました。その結果、たとえばフロリダの町の地面にはフライドチキンの残りの骨がたくさん落ちていてそれがアルゼンチンアリの格好の餌になっている、アルゼンチンの街は落書きで溢れておりアリがカラフルな壁面の上を歩いている、等、その土地の文化とアリの関わり合いが顕著に感じられました。私がカメラに収めた内容は、学術文献では「市街地に生息」「雑食性」等の文言に集約され、見えなくなってしまうものです。そこで、撮影した写真を、以前私が研究者として共著で出版した専門書に貼り付け、上書きし、改訂版の製作を試みることにしました。Wonder Foto Dayではそれを展示するとともに、台湾や日本で侵略的外来アリとして問題が顕在化しつつあるヒアリの作品も発表したいと思います。
砂村 栄力 Eiriki Sunamura
1982年東京生まれ。外来種アルゼンチンアリの生態および駆除に関する研究を行い2011年に東京大学大学院博士課程修了、東京大学総長賞受賞。以後、化学メーカーにて殺虫剤の研究開発に従事。2013年から専門とする害虫等の写真撮影を始め、2016年に第5回田淵行男賞写真作品公募アサヒカメラ賞を受賞。
Website: https://www.eirikisunamura.com/
砂村 栄力 Eiriki Sunamura
1982年東京生まれ。外来種アルゼンチンアリの生態および駆除に関する研究を行い2011年に東京大学大学院博士課程修了、東京大学総長賞受賞。以後、化学メーカーにて殺虫剤の研究開発に従事。2013年から専門とする害虫等の写真撮影を始め、2016年に第5回田淵行男賞写真作品公募アサヒカメラ賞を受賞。
Website: https://www.eirikisunamura.com/